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スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM(プログレッシブ キャピタリズム): 利益はみんなのために

, ジョセフ・E. スティグリッツ

によって ジョセフ・E. スティグリッツ
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内容紹介 中流という生き方はまだ死んでいない。万人を豊かにする進歩的資本主義とは?上流エリートか、貧困層か……。未来の選択肢は、この二つだけではない。今こそ、分断なき世界について語ろう!「スティグリッツはとてつもなく偉大な経済学者だ」――ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞経済学者)「クルーグマン、ピケティと並び、21世紀のグローバル資本主義論争をリードしてきた偉人」――アンドリュー・アンソニー(ガーディアン紙)ノーベル経済学賞受賞経済学者が、市場原理主義に異議を唱え、経済の再生を提言する!いまや経済や政治は、一部の富裕層や大企業だけのためのものになってしまった。さまざまな産業を、わずかばかりの企業が独占的に支配するようになった結果、格差が急激に拡大し、成長が鈍化している。金融企業は金融産業の規制の内容を自ら決めている。テクノロジー企業は何の監視もないまま膨大な量の個人データを収集している。そして政府は、労働者のためにならない貿易協定の交渉をしている。富の創造ではなく、他者の搾取を通じて富を蓄えている企業が、あまりに多いのが実情だ。このまま何の手も打たなければ、新たなテクノロジーにより事態はいっそう悪化し、格差や失業が拡大していくかもしれない。だが、我々が直面しているこのような状況に対し、打つ手がないわけでは決してない。実際、経済学的に見れば、解決策ははっきりしている。市場の利点を利用しながら、そのいきすぎた行為を抑制する必要があるのだ。市場は国民の利益になるものでなければならず、その逆であってはならないのである。スティグリッツによれば、富や生活水準の向上を真にもたらすのは、学習、科学やテクノロジーの進歩、法の支配だという。本書で示される政策改革に賛同する人が多数派を占めれば、いまからでも、豊かさが万人にいきわたる進歩的資本主義を構築することは可能だ。そしてそれは、誰もが中流階級の生活を実現できる社会である。市場原理主義から予想される危機と、進歩的資本主義の基盤を提示する本書は、現代社会の危機的状況を明らかにすると同時に、困難な時代を乗り越えるための、正しい資本主義のあり方、すなわち「それでも資本主義にできること」を示すものである。 内容(「BOOK」データベースより) 中流という生き方はまだ死んでいない。万人をモ礪にする進歩的資本主義。 著者について ジョセフ E スティグリッツ経済学者ノーベル経済学賞を受賞した経済学者であり、著書に、『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』『世界の99%を貧困にする経済』『フリーフォール』(すべて徳間書店)などがある。クリントン政権時代の大統領経済諮問委員会の委員長や、世界銀行のチーフエコノミストを務め、タイム誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれたこともある。現在はコロンビア大学で教鞭をとるかたわら、ルーズベルト研究所のチーフエコノミストを務めている。山田 美明(ヤマダ ヨシアキ)翻訳家英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退。訳書に『アスペルガー医師とナチス』(光文社)、『ファンタジーランド』(共訳、東洋経済新報社)、『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』(光文社)、『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』(共訳、集英社)など。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) スティグリッツ,ジョセフ・E. ノーベル経済学賞を受賞した経済学者。クリントン政権時代の大統領経済諮問委員会の委員長や、世界銀行のチーフエコノミストを務め、タイム誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれたこともある。現在はコロンビア大学で教鞭をとるかたわら、ルーズベルト研究所のチーフエコノミストを務めている 山田/美明 英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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「トップ1%」という言葉を世の中に浸透せしめ、経済格差の是正運動にも大きな影響を与えた、言わずと知れたノーベル賞受賞経済学者の新著。日本語版は原著で副題の「プログレッシブ・キャピタリズム」(進歩的資本主義)という言葉をタイトルに持ってきて、サーモンピンク地にゴールドのロゴをあしらう、親しみやすい装丁です。英語の原著以上に、デザインが魅力的に映ります。主に米国の経済状況について論じていますが、日本も多くの面で米国の後を追う傾向にあるほか、現在の第二次安倍政権の政策は著者を含むリベラル派経済学者の影響を大きく受けており、今後を考える上で参考になる点が少なくありません。とりわけ私が惹きつけられたのは、「世界で最もイノベーションが進んでいるように見える米国経済がこれほど低成長を記録し、成長の果実が一般市民にまでほとんど行き渡らないのはなぜか、と言う疑問のかなりの部分を『市場支配力』で説明できる」と分析する第3章(「搾取と市場支配力」)です。著者はその背景を「企業が競争を制限するために用いる『イノーベーション』にある」と看破し、具体例として、米国において競争が不十分な通信の分野で、ブロードバンドの利用料が他国に比べ高価であることなどを挙げています。恐らく多くの日本人読者にとって留意すべきは、著者が「競争を制限すべき」という視点からではなく、むしろ逆に「競争の制限がもたらす弊害を取り除くべき」という視点から、どう経済成長を促進し、恩恵をあまねく広げるかを考え、論を進めていることです。自身の立場を「進歩的資本主義」と称するゆえんでしょう。日本において固定化された左派のイメージとは随分、異なります。1社の独占またはほんの一握りの大企業による寡占が生活に必要なモノやサービスの価格を高止まりさせ、消費者に不利益をもたらす傾向にあることは、すでに日本でもよく理解されていると思います。しかし、「市場支配力が賃金を低下させ、労働者を搾取する」という著者らの見方は、まだそれほど浸透していないのではないでしょうか。先進国に共通でみられる賃金の伸びの弱さの大きな要因に、市場支配力の作用があるのでは、というわけです。確かに、大企業のシェアが特定分野で圧倒的になれば、雇用主として他社よりも好条件を働き手に提示する必要がなくなり、政府や地方自治体への発言力も強まるでしょう。著者が言う通り、フルタイム勤務を希望する労働者をパートタイムで雇用したり、労組の交渉力を高めやすい「ユニオンショップ制」を禁じるよう行政機関に働きかけたりしやすくなるだろうことは、想像に難くありません。著者は「市場支配力や富が偏在していては、真の民主主義は実現できない」とし、「企業が労働者に振るう権力を抑制するには、法的枠組みも変える必要がある。何より重要なのは、労働者が団結して労働者の利益を高めていけるようにすることだ」と訴えます。企業による不当な競争制限が疑われる動きとしては、例えば、1990年代にIT大手マイクロソフトが、近い将来のライバルになると見込まれた、ネットブラウザ提供の新興企業「ネットスケープコミュニケーションズ」をけん制すべく、自社のOSを搭載したパソコンにブラウザ「インターネットエクスプローラー」を無料で組み込み、販売した行為が問題視されたことがあります。このときは米司法省の訴えに基づき、米連邦地裁が2000年、マイクロソフトにOS部門とアプリケーション部門の分割を命令。訴訟は上級審の審理を経て、11年後に和解しました。また近年もSNS大手のフェイスブックが2012〜2015年、近しい分野で事業展開するインスタグラムやワッツアップを相次いで買収しました。現行法では容認される行動ですが、著者は「(FBが)わざわざ大金を払って買収に及んだのは、競争を未然に防ぐためだとしか考えられない」と指摘。「インターネットプロバイダーが娯楽コンテンツ提供会社を買収する場合など、大規模な利害衝突をもたらす合併を禁止すること。そのような合併がすでに行われている場合、いまからでも分割すべきだ」とルール見直しの必要性を強調します。上記はあくまで本作におけるスティグリッツの見解の一部にすぎませんが、彼を含むリベラル派経済学者の知見は、今年11月に控えた米大統領選にも現在進行形で影響を与えているとみて間違いありません。著者らの提言には、反対の声も上がるでしょう。しかし、もし米民主党が、2018年秋の中間選挙で下院の多数派を握ったのに続き、今年の一連の選挙を経て、大統領の座のほか、上下両院の過半数を押さえれば、実現する可能性は十分ありそうです。日本を含む世界各国の政策に与える影響も、相当大きなものとなるでしょうね。

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