それでも、逃げない (文春新書)
本, 三浦 瑠麗
によって 三浦 瑠麗
4.5 5つ星のうち 4 人の読者
ファイルサイズ : 24.51 MB
乙武洋匡が三浦瑠麗に、その生い立ち、家族、孤独を訊ね、三浦が乙武の不倫騒動、さまざまなチャレンジでぶつかった困難に迫る!いじめ、孤立、セクハラ、同調圧力、ネットでの炎上……。生きづらさに立ち向かうには?両者が聞き手と答え手となり、攻守を入れ替えながら、およそ一年にわたって続けた対話の記録です。どんな質問にもすべて受け切る。時には政治、社会を論じて、四方八方めった斬り、時には最もプライベートな領域にも踏み込む。話題の二人が包み隠さず語る過激で優しい対話集。【本書の内容】○女性として生まれてよかったと思う瞬間○なぜ、結婚に夢を見ないのか○どうして男性は自分より頭のいい女性が嫌い!?○大きな挫折から学んだこと○世間の作ったイメージを意識して生きてきたことへの思い 他
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ワイドナショーでよくお見かけする二人の対談集。忖度抜きで互いにいろいろなことを聞きあっている、ストロングスタイルの一冊。中身がパンパンに詰まった、とてもいろいろなことを考えさせられる良書だった。例の不倫スキャンダルで、参院選出馬直前に失脚した〝五体不満足〟の乙武さんと、常に上から目線と揶揄されながら、歯に衣着せぬ理知的な発言で存在感を高めてきた三浦さん。二人には一見共通点はなさそうに見える。三浦さんが保守的なのに対して、乙武さんはむしろリベラルっぽいし……。でも、乙武さんは障害者として、三浦さんは女性として、生きづらさを抱えて生きている点、そして、主張すべきことは曲げずに主張し、ネット炎上が起きたとしても決して自分を曲げることはない。実は似たところがあるのだな、と感じた。でなければ、こんなにガチンコトークができるはずがない。倫理にもとる行為をしてしまったことも含め、乙武さんの中に「昭和の男」的価値観を感じた、と話す三浦さんに、『そう簡単に昭和の自分は変えられない……』と本音を吐露する場面。みんなに愛されてきた乙武さんが、教員時代にいじめにあって、思い悩んで電車に飛び込もうとしたことがあったこと。そして乙武さんは、三浦さんを前にしてそういった苦悩を隠さず、例の騒動があったあともなお、日本で活動を続ける自身の覚悟を語っている。その覚悟に触れて、少し彼のイメージが変わった。彼がこれから社会のために何をするのかを、注目してみていようと思う。一方、三浦さんの半生は、自著『孤独の意味も、女であることの味わいも』にも描かれているように、孤独に満ちていた。性的暴行も含め、さまざま自分が壊れてしまいそうな出来事を乗り越えてきたからこそ、今のあの強いまなざしがあるのだろう。たとえば安全保障を語る際には、極めて与党寄りだが、たとえば伊藤詩織さんのレイプの件では、安倍首相寄りのジャーナリストを糾弾し、伊藤さんに寄り添う。党派性ばかりを気にするカチカチ頭の人々はそれを「矛盾」と指摘するのだが、アホか、と思う。彼女の中で、保守的な言説と、弱き者の小さな声に耳を傾けることは完全に一致するのだ。二人の話は、なんというか、ゆるゆると流れていく。不思議な対談集だ。でも、確実に心にささっていく。そして、少し固くなって、疲れた心に漢方薬のように効いてくれるような気がしている。これからもう一度読み返そうと思う。
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